値上げの威力~タバコの値段よ、もっと上がれ!
前回書いた値上げの話で、面白い商品の値上げを思い出した。それは、、、タバコである。
タバコの値上げは、吸う人にとっては最悪だろうが、吸わない人、タバコ会社にとってはうれしい事件なのである。
吸わない人にとっては、タバコが値上げされると喫煙者の数が減るので、自分に迷惑がかからなくなる。
タバコ会社にとっては、確かにお客さんである喫煙者の数が減るのはマイナスなのだが…。実は、他の業種の会社よりも利益がずっと増える(!)のである。なぜだろうか?
まず、タバコの売上の仕組みについて考えてみよう。タバコは税金が高いということが有名である。
タバコ一箱を300円とすると、
国たばこ税 約71円
地方たばこ税(都道府県) 約21.5円
地方たばこ税(市区町村) 約66円
たばこ特別税 約16.5円
消費税 15円
販売店の利益 30円
たばこ会社の取り分(差し引き) 約80円
が大体の構造であるとのことである。つまり、300円のタバコを売っても、税金が大半(約190円)なので、タバコ会社にとっての実質的な売上高は約80円なのである。
この会社が年間125億箱のタバコを売っているとすると、年間の実質売上高は80×125=10,000億円(1兆円)になる。
また、大雑把な利益率を25%とすると、利益額は2,500億円となる。
さて、ある時、このタバコ会社が10円の値上げに成功したとすると、何が起きるだろう。
小売価格は300円から310円になる。つまり、約3%の値上げである。3%の値上げだと、タバコを吸う人はどのくらい減るのだろう?ニコチンは依存性があるから、多分1%がいいところだろう。
大雑把に言って、小売店での売上高は値上げの結果、約2%(3%-1%)上がる。
それでは、タバコ会社にとってはどうだろう?一箱当たりの売上高は
タバコ一箱を310円とすると、
国たばこ税 約71円
地方たばこ税(都道府県) 約21.5円
地方たばこ税(市区町村) 約66円
たばこ特別税 約16.5円
消費税 約16円
販売店の利益 31円
たばこ会社の取り分(差し引き) 約88円
先ほどの計算をすると、88×125億箱×99%(値上げによる減少分は1%)=10,890億円になる。小売価格を3%値上げするだけで、タバコ会社の売上は8.9%(約9%)、890億円も増えるのである。では、利益はどうなるだろうか?
単なる値上げであるから、費用構造が特に変わるわけではない。
大雑把に考えれば、売上高が増えた分、つまり890億円はそのまま利益の上乗せとなる。つまり、2,500億円+890億円=3,390億円で約35%もの利益の増加になる。
これまでの話をまとめると、タバコはたった3%の値上げで、タバコ会社の利益は35%(!)も増えるのである。
実際には、こうしたタバコ会社本位の値上げは政府が認めないので、タバコ増税がされた時に便乗値上げをするという形が取られることが多い。
300円の小売価格に20円増税され、同時に10円の便乗値上げをすると、小売価格が30円値上げされる(10%)。この場合は当然、先ほどよりはタバコを止めたり本数を減らす人が増えるだろう。
しかし、同じような計算をしていくと、利益の増加はさっきほどは大きくないにしてもかなり増えそうである。
同じことは、アルコール飲料でも同じことが言える。ちょとだけ値上げをするだけで、会社の利益は他の業種よりも大きく増えるのである。
1本当たりに占める税金があまりに高いので、消費者が感じる値上げと、会社が感じる値上げの意味が大きく異なってしまうのが原因と言えそうである。もちろん、色々な状況によって、数量は上下するので、常に値上げすれば利益が増えるとは言えない。しかし、値上げ戦略が利益に大きく影響するという面白い例ではないでしょうか?
個人的には、レストランなど公共の場はすべて禁煙にすればいいし、タバコの値段はドンドン上げてもらって結構と思っている。ただし、値上げするなら、企業の値上げではなく、税金を大幅に引き上げて、その分を所得税など他の減税にあてて欲しい。
その場合、タバコの消費本数が減るので、タバコ会社は、その分は便乗値上げで利益を出そうとするので、世の中のタバコの消費本数はますます減るのである。良いことである。
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コメント
同じようなこと考えてる人がいるもんですねー^^
実際の製造原価(葉っぱとタバコ製造価格)はどんなもんでしょうね。
わしの想像ではおそらく5円以下で出来てると思います。生産数が半端じゃないでしょうからかかるコストを大幅に削減できますしね。
まー、どのみち独占企業ですから濡れ手に粟ですし。
このビデオ面白いですよ。
http://jp.youtube.com/watch?v=uP-uNxIDq34
投稿: takaj | 2008年6月20日 (金) 11時48分
takajさんコメントありがとうございます!最近話題の一箱1,000円化や神奈川県での公共の場での禁煙の議論でまさにこの記事の方向で動き始めているようなので嬉しい限りですね。
JTの有価証券報告書を見てみると、単体売上23,300億円に対して製造原価は3,100億円(売上の13%)、原材料費は2,300億円(同10%)となっているようです。一箱当たり大体25~30円が原材料なんでしょうね。以前、JTは半分弱を海外に比べてものすごく高価な国産葉たばこを使っていると聞いたので、そのせいもあるのかも知れませんね。
ご紹介いただいたYoutubeを見てみました。大変面白かったです。ありがとうございました。
投稿: タダシ | 2008年6月23日 (月) 00時03分