ミシュラン東京もいいけれど…
ミシュラン東京が発売された。3つ星8軒、2つ星25軒、1つ星117軒。東京で150店、星の数191は最多ということなので、誇らしくも感じる。一方、私が行った事のある店は、この中で10軒だけ。数年前までにずいぶん色々な所に行ったつもりだったのだが、まだまだ東京には色んな店があるのだなぁと感心した。
初の東京での格付けということで、テレビニュースでは発表後に選ばれた店主のインタビューを放送したり、22日の発売後は各書店で売り切れも続出しているそうだ。
3つ星店8軒の内日本料理店が5軒と、「さすが日本料理はすごいな」と思ってしまう。自分でも一冊買ってみようと思いながら、これだけ盛り上がっているとひねくれてみたい気持ちにもなる。
そもそも、フランスの料理ガイドに日本料理を褒めてもらって嬉しいのだろうか?ニュースでは、星をもらった日本料理店の人が、涙を浮かべて「こんなに嬉しいことはこれまで無かった」などとコメントしている。
せっかく世界的な宣伝をしてもらっているので、商売のためのプロモーション効果を上げようとリップサービスしているならそれで良し。しかし、本気で言っているのなら悲しくなる。もっと日ごろから誇りを持って欲しい。
評価員は5名で内2名が日本人だったというが、本当に日本食の評価ができるのだろうか。
世界的に権威あるガイドブックに評価してもらったことは大変嬉しいが、毎日、色んなお客様に「美味しかったです」とか「小さなこんなサービスが嬉しい」ですと一言いってもらえることに勝る喜びはありません。今回の評価もそうした声の一つととらえています。
くらいのコメントをして欲しいものである。
また、東京だけで、ミシュランが191個の星をつけるような料理大国である。農水省が発案して、国際的な批判を浴びて頓挫した海外の日本料理格付けはもってのほかだが、日本国内から始めて世界の消費者に認めてもらえる格付けを作り育てて欲しい。
スポーツの国際ルールを見ていても欧米の発言力が強すぎる。バレーボール、水泳、スキーのジャンプなど枚挙にいとまがない。今回のミシュランも結局のところは、ルールを作って運用しているのはフランス企業で、一方的に評価されているのは日本の料理店である。大きな違いは、スポーツの国際ルールの決定には政治力がものを言うが、格付けはそれを利用する人からの信頼がものを言う、ということである。
格付けとは、本質的にはそれを行う機関への信頼が全てである。ミシュランの格付けがありがたがれて、私がこのブログで勝手に格付けをしても誰もありがたがられない。それは、誰もがミシュランの格付けは十分に信頼に足る、あるいは、注目に値すると思っているからである。
農水省が突然、海外の日本料理店を格付けすると発表し、激しく反発されたのは当然である。全く信用のない状態で、格付けをしても誰も認めてくれないのである。私は、そもそも政府関連機関がこうした評価をすることには大いに疑問を感じる。
どこかの民間団体が、まずは日本国内の日本料理店を客観的に格付けをして発表する。その際に、できるかぎり基準も明確にして公表する。そして、英語を初めとする数ヶ国語にきちんと翻訳し、各国で発売・プロモーションする。毎年、同じ基準で格付けを実施し、少しずつ信頼を得、やがては世界中の日本料理の基準を日本発で設定してはどうか。ゆくゆくは日本発であらゆるレストランの世界基準を作ってみてもよいと思う。
余談ではあるが、日本のテレビ番組「料理の鉄人」はアメリカでも「Iron Chef」として大変な人気を博した。公平で信頼できる評価というよりは、エンターテイメント性が受けたのだろうが、日本は料理大国であるという認識が元にあるのは間違いないだろう。
食文化、食の水準というのは、料理を作る人とそれを味わう人がいて初めて成立し向上するものである。味わう人というのは、すなわち評価する人であり、そのレベルが高いからこそレストランのレベルも高くなるのだと思う。東京のレストランが高く評価されたというのは、東京のお客さんの舌が厳しいということなのだと思う。
したがって、日本発のレストラン格付けというのは十分に可能性があると思う。何とか実現して欲しいものである。日本に数多くのグルメランキング誌があっても世界的な権威をもてないのは様々な問題があるのだろう。そうしたことを克服して日本発の格付けを世界に広めて欲しい。
それにしても191個の星というのはすごい。「宝石箱」というより、料理界の天の川といった風である。一方、ミシュランの星は料理の質が低下すれば剥奪されることでも有名である。
世界最多の星の都市となった東京。次の格付けで世界で最も多くの星を失った都市とならないように気を引き締めて欲しい。一般的に、どの料理店も高い評価を受けて多忙になると、サービスも味の質も急速に悪化するのが常であるから。
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