2008年6月29日 (日)

「鉄道員(ぽっぽや)」を見て★★★☆☆

Poppoya_250 浅田次郎の短編集からの一話を原作としたファンタジードラマ。監督 降旗康男、出演 高倉健、大竹しのぶ、小林稔侍、広末涼子、吉岡秀隆。1999年公開、114分。

廃線が決まった北海道のローカル線の最終駅に勤務駅長、佐藤乙松(高倉健)。ある日出逢った少女との心温まる物語。

実は、この映画はまったく予備知識なしに見た。佐藤乙松役は、そもそもこの映画が高倉健のプロモーションビデオかと思うほど、彼にしか演じられない役だと思う。また、まだ十代の広末涼子が初々しく可愛い。冬景色の北海道のさびれた町の景色も美しい。そして、ストーリーは確かに感動させられ、泣かされる。

しかし、である。何と言うか、ストーリー展開、演出のあざとさが鼻についてしまった。見始めて、ほどなく大体のストーリーが想像できてしまう。その期待を裏切って違う展開にならないかと思って見るが、多少の驚きがありながらも、ほぼ思った通りの流れにやや過剰な演出がついて進んでいく。そう思い始めると、佐藤乙松のあまりの不器用な生き方にも不自然さを感じ始めてしまう。

見終わった感想としては、結局、純粋に泣かされたというより、強引にそういう気持ちにさせられたのかもしれないということである。日本映画を代表する一作との評もあり、1999年の日本アカデミー賞を総なめしているが、それほどのものではないと思った。★3つ。

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2008年3月21日 (金)

「それでもボクはやってない」を見て★★★★☆

Soredemo_250 日本の刑事裁判の問題点を描いた社会派作品。監督 周防正行、出演 加瀬亮、役所広司、瀬戸朝香、山本耕史、もたいまさこ。2007年公開、143分。

先日、テレビ放送していたのを録画して見た。フリーターの青年 金子徹平(加瀬亮)が正社員としての採用面接を受けにいく途中、痴漢容疑で警察の取調べを受けることになった。無実を訴え続けるが、裁判になり…という内容。

刑事裁判で有罪判決となる確率は99.9%であるという事実。「日本の裁判ってこんななのか?」と少し恐ろしい気分になる映画であった。痴漢冤罪ということで、キワモノの映画かと少し敬遠していたが、見て良かった。間もなく裁判員制度が導入されるということを考えるとなおさらである。

印象に残った台詞は、「怖いのは、99.9%の有罪率が裁判の結果でなく、前提になってしまうことです」との徹平の主任弁護士 荒川正義(役所広司)の言葉。

「疑わしきは罰せず」という刑事裁判の原則が形骸化しており、警察、検察、そして裁判官までもが「被告は有罪である」という前提で取調べ、裁判を行い、「やっていないことを証明する」ために被告らが四苦八苦する姿は痛ましい。

当初、無罪判定の多い裁判官が担当だったので、平等な審議が進むが、それがためか途中で担当裁判官が地方裁判所に転勤になってしまう。

裁判官は被告に良くしても得することがなく、無罪ばかり出し続けると検察の不評を買い、自分の出世に影響してしまう。という問題があると語られる。

裁判官は神ではなく人間である。自分の出世欲もあり、家族もいるだろう。有罪率99.9%の中、保身のためにも無罪判決を出すのは大変勇気のある決断が必要なのだと思う。

本作を見て、裁判員制度は、「裁判官一人による判決」という、裁判官個人の損得勘定と正しい判断という2つのものに挟まれる精神的なプレッシャーから裁判官を開放するのに有効そうだと思った。第三者である裁判員の意見が加わることで、冤罪に対して無罪判決を出す割合も増えるのではないか?

しかし、裁判員制度の適用は、残念ながら重大事件に限られるようで、本作のような事件には適用されない…。

周坊監督は非常に多くの調査を行ってこの映画を作ったのだろう。一般の裁判映画などで出てこないようなシーンも多くあり感心した。

登場人物たちそのものの描き方が甘い気はするが、観客に「もし自分が訴えられたら」と思わせるにはかえって効果的だったと思う。

李下に冠を正さず。満員電車に乗る時には注意しなくてはと思った。また、近く衆議院選挙が行われるのだろう。「これからは、それと同時に行われる最高裁判所裁判官国民審査にも注意を払おう」そんな風に思った。

良い作品である。★4つ。

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2008年3月 2日 (日)

「ディパーテッド」を見て★★★☆☆

Departed_250 「インファナル・アフェア(無間道)」(2002年香港)のリメーク版。監督 マーティン・スコセッシ、出演 レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソン、マーチン・シーン、マーク・ウォルバーグ。2007年日本公開、151分。

マフィアに潜入した警察官 ビリー・コスティガン(レオナルド・ディカプリオ)と警察に潜入したマフィア コリン・サリバン(マット・デイモン)を描いたサスペンス映画。第79回アカデミー賞作品賞、監督賞、脚色賞、編集賞。

オリジナル版を数年前に見ていたし、しかもアメリカ映画としてのリメークなので、期待しないで見た。オリジナルの脚本が良いせいか、演技が良かったのか、ストーリーはほとんど同じで展開が読めるのだが、ずいぶんとドキドキできて期待以上の出来だった。

マット・デイモンの演技は、ボーンシリーズのジェイソン・ボーンと重なる部分が多かったが、要領の良さで出世していく警察官役を好演していたと思う。一方、マフィアに潜入したビリー役のレオナルド・ディカプリオはなかなか良い演技をしていたと思うのだが、顔が丸っこいせいだろうか、疲弊感のリアリティに物足りなさが残った。このビリーの心理描写は私には表層的な気がして、もう少し内面の深堀りをして欲しかった。これはリメーク脚本のせいだろうか?他民族国家のアメリカであまり観念的な面に焦点を当てると、理解してもらえないからかも知れないが、日本人の私には物足りなさが残った。

マフィアの親分フランク・コステロ役、ジャック・ニコルソンは役柄の好き嫌いを抜きにして、「やはり凄い」と期待した通りの素晴らしさ。ティグナム巡査部長役、マーク・ウォルバーグという人、本作を見た後に経歴を調べてみてびっくり。今回の映画にピッタリというか、あまりのすごさに怖くなった。

作品の内容は、アメリカらしく、オリジナルにはない民族問題が入っていた点はユニークさを感じさせられた。残念だったのは、オリジナル版よりも暴力描写が多い気がして(記憶違い?)、行き詰るような登場人物達の心理的な緊張感をあまり感じられなかった点。また、コリンの彼女がビリーとふたまたをかけるという設定も不要に感じた。加えて、罵り合うような汚い言葉の応酬が繰り返し出てくるが、こうした箇所も不要に感じた。物語の結末について賛否両論あるようだが、おそらく続編が作られないディパーテッドとしてはこれで良いのではないかと思った。

チップの行方、コスティガンの封筒の使われ道が分からずじまいだったが、そのあたりは鑑賞後に色々話をするネタを残してくれたご愛嬌と考えたい。

結論。サスペンス映画として大変面白い作品である。しかし、これはオリジナル版の良さに負っている面が大変強い。本リメーク版に出てくる俳優たちに特別な思い入れがないのなら、オリジナル版を見ることを薦める。オリジナル版を知らなければ、★4つ以上だと思うが、残念ながら「インファナル・アフェア(無間道)」との比較は避けられない。★3つ。

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2008年2月24日 (日)

「アルゼンチンババア」を見て☆☆☆☆☆

Argentina_250 吉本ばなな原作、監督 長尾直樹、出演 役所広司、鈴木京香、掘北真希、森下愛子。2007年公開、112分。

仲の良かった3人家族だが、イルカの島で過ごした楽しい想い出を残し、母(手塚理美)が死んだ。妻と仕事を愛していた墓石彫りの父(役所広司)はなぜかその日突然、姿を消した。半年後、父は町外れに住む変わり者の年増女(アルゼンチンババア、鈴木京香)の屋敷で幸せに暮らしているのを発見された。

愚作…。

「大変できが良い寛大な娘と、どうしようもないダメ親父の出てくるありきたりな話」ただそれだけである。付け加えるなら、周りの登場人物も基本的にダメ男、ダメ女ばかり。あえて言えば、「ダメな父親でもやっぱり肉親っていいな」そんなテーマなのだろうか?

たとえてみれば、どうしようもない商品を不思議なデザインのパッケージで包んで、もっとらしい成分表示をつけ、消費者の興味をそそる商品名をつけて棚に並べた。誰かだまされて買うだろう。まさに、そんな映画である。

「アルゼンチンババア」というタイトルを聞いて、何だろうと思ってしまう。大半の日本人にとってアルゼンチンはとても遠い国で、マラドーナに代表されるサッカーかアルゼンチンタンゴがせいぜいのイメージではなかろうか?他には「母をたずねて三千里」の少年マルコが目指すのがアルゼンチン、首都はブエノスアイレスって小中学校で習ったなとか。あとは、幼少の頃、「アルゼンチンのこども~、こども~」と唄って両親に怒られた、くらいのイメージしかないのではなかろうか?しかもババア!そしてそれは「鈴木京香」である。だから、この映画のタイトルを聞くと何それ?と興味は持ってしまう。

映画CMやDVDパッケージでも、あやしげな雰囲気のアルゼンチンババア(鈴木京香)を見ると「何だこれは?」と思わされる。まるで、CATSでメモリーを唄う娼婦猫(グリザベラ)や岸田今日子が演じた安倍公房原作の映画「砂の女」のようである。きっと何かすごい事情かもしくはすごい力を持っているのではないかと思わせる。

しかも、出演は、役所広司、鈴木京香、掘北真希。見てもいいかな?と思ってしまう。

それで、DVDを借りてきて見たわけだが、感想はこれである。全くひどいものである、本来なら何がどうひどいかなど書くべきだろうが、そんな気にもならずただ怒ってしまった。何がどうひどいかは見てみて欲しい。いや、見るべきではないか?時間と金のムダでだから。

一体、制作者達は、観客に何かを感じてもらえると思ってこの映画を作ったのだろうか?それとも力のある人がどうしてもこの吉本ばなな原作のこれを映像化したいと思ったのだろうか?色々、大人の事情があるのだろうが、いずれにしてもこれはお蔵入りにするべきだったのではなかろうか?恥ずかしげもなく映画公開し、DVD発売までした制作者、配給会社、発売元に感心する。

こうした失敗を重ねて制作者も学習するか、そうでなければ淘汰され、より良い作品が世の中に出てきてくれるのだろうと勝手な期待をしたい。そうでなければ、日本映画自体は再び市場から淘汰されてしまうだろう。

堀北真希のかわいらしさと清純な役柄が唯一の救いなのだが、映画としてのあまりのひどさは打ち消せない。★ゼロ個。

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2008年2月11日 (月)

「ナショナル・トレジャー」を見て☆☆☆☆☆

Ntltrsr_250 昨年末に2作目が公開されたニコラス・ケイジ主演の冒険映画の一作目。監督 ジョン・タートルトーブ、出演 ニコラス・ケイジ(主役 ベン・ゲイツ)、ハーヴェイ・カイテル(FBI捜査官 セダスキー)、ジョン・ヴォイト(ベンの父 パトリック・ゲイツ)、ダイアン・クルーガー(公文書館責任者 アビゲイル・チェイス)。2004年公開 ブエナビスタ配給作品。131分。

ニコラス・ケイジ扮するベン・ゲイツは現代版インディ・ジョーンズ。歴史家にして冒険家である。ベイツ家は代々テンプル騎士団の秘宝にまつわる秘密を伝承している。

その宝を巡り、ベンと協力関係にあった同じ冒険家のイアンが、秘宝の手がかりが書かれているという「米国独立宣言書」を巡って対立、ライバル同士に。同宣言書の奪い合いから始まって、どちらが宝を探し出せるか!?というありきたりの内容。

頭を空っぽにして見れば楽しめるだろうと思い、かなり期待して見始めたのだが、あまりにお粗末な話で頭を空っぽにさせてももらえなかった。強引な推理(というか自分勝手な憶測)を派手なBGMとともに観客に押し付け、観客の頭の中を疑問符でいっぱいにする。

その間に主人公のベンや宿敵イアンは次のロケ地へと旅立ってしまう。見ているこちらは、「おいおいちょっと待てよ」と思いながらも、次の場面に引っ張って行かれる。

ベンの推理もさることながら、イアンはどうしてベンの行く先に気づくのだろうか?この二人は実は超能力者なのだろうか?見ているこちらは、ひょっとして誰か裏切り者がいるのだろうか?など、勝手な空想までし始めてしまう。この手の映画にくどくどした解説は不要だが、せめて、話の流れを自然なものにする努力はお願いしたい。

話の流れはありがちで先が読めてしまうのに、そのつながりが全くよく分からないというある意味不思議な映画。タイプが似ている映画、「インディー・ジョーンズ」シリーズもこんな感じの映画だっただろうか?学生時代に好きで、コンプリートDVDセットを買っているので、今度時間があれば見直してみようと思う。

ところで、一体全体、何でこんな映画を見てしまったのかと考えみる。正月頃からなぜか見たいと思っていたのだ。そういえば…思い当たるイベントが。昨年末に通りがかりでやっていた本作の続編「ナショナル・トレジャー リンカーン 暗殺者の日記」の宣伝イベントである。これがずいぶんと大掛かりで頭に残っていたようだ。PCの中を探したら、その時のスナップがあった。

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六本木ヒルズにこんなに派手なセットを組んでの宣伝イベント。

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映画コメンテーターのLiLiCoに加え、この後、主演のニコラス・ケイジまで来たそうだ。

こうしたイベントって「お金だけかかって効果なんてあるのだろうか?」といつも思っていたのだが、結局、私も思わずDVDを借りてしまっている訳だ。なんだか悔しいが、やはり効果ありと言わざるを得ない。

この作品は、当然★ゼロ個。特に25歳以上くらいの大人には時間と金の無駄。救いは、ディズニー映画なので、行過ぎた暴力シーン、ラブシーンがないので、家族団らんで安心して見られる点である。

色々なサイトでの評価を見てみると、総じて高評価。う~ん、よく分からない…。

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2008年2月10日 (日)

「クラッシュ」を見て★★★★☆

Crush_250 第78回アカデミー賞の作品賞、脚本賞、編集賞。出演 サンドラ・ブロック、ドン・チードル、マット・ディロン、監督 ポール・ハギス。以前から気になっていた一本。ロサンゼルスで起きたとある自動車事故を起点に、人々が互いに関わりを持っていくという物語を通じ、アメリカが抱える多くの問題をとともに描いた作品。

脚本の巧みさに感心し、テーマの複雑さに見終わった後、考えさせられる作品だった。人種差別・偏見、銃問題、憎しみ、人間の二面性など一つ一つがテーマであることはもちろんである。しかし、見た後色々考えていて、ロサンゼルスという町の持つ寂しさが印象に残ったことに気づいた。冒頭のドン・チードルの台詞、

街中を歩けばよく人と体がぶつかったりするだろ?
でもロスじゃ触れ合いは皆無 人々はたいてい車の中にいる
でも触れ合いたいのさ ぶつかりあって何かを実感したいんだ

が象徴している。大都市ロサンゼルスで生きる人々は色々な問題を抱えるが、他人との関わりを持つことが難しく、それを確認できる機会も少ない。

以前、ロサンゼルスに住んでいた友人が他の町に引っ越す時に同じようなことを言っていた。「良い町だが、移動と言えば自動車しかない。出発地と目的地があるだけ。偶然、町で誰かに出くわすことなどまずない。ノッペリした地形と相まって、ずっと住んでいると疲れる」とのこと。

この映画では、何の事件も起きなければ他人と触れ合う機会は少ない。自動車事故、自動車強盗、仕事でのトラブル。こうしたことを通じて、他人との関わりを持ち、良かれ悪しかれ自分自身の存在を確認していく。ロサンゼルスの持つ華やかさは影を潜め、同じ町が持つ寂しさ、不満が映画全体を包んでいるように感じた。

映画の扱っているテーマでは、差別問題よりも、人間の持つ二面性、親子愛といった普遍的なテーマがいくつものエピソードで角度を変えながら描かれているのが面白いと思った。

ただ何と言っても、何人もの登場人物が全く関係のない生活をしていながら巧みに絡んでいく点。同時に、パズルのピースがきちんとはまって収まるようなあざとさ、計算し尽された脚本の傲慢さに多少鼻白む面もあったが、それでもなお、その巧みさには大いに感心させられた。社会派映画という視点だけでなく、娯楽映画としても必見。

★5つで当然という作品だが、アジア人の扱いがネガティブに感じたので、一つ減点。

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2008年2月 3日 (日)

「ダメジン」を見て★☆☆☆☆

Damejin_250 「テレビドラマ『時効警察』の三木聡監督の三木ワールド全開の脱力系ムービー」とのキャッチコピーに魅かれてレンタル。2006年公開、日本映画、98分。出演: 佐藤隆太、緋田康人、温水洋一、市川実日子、篠井英介、ふせえり。

「期待し過ぎるとあとでガッカリする」と言うが、この映画はまさにその通り。

仕事をしないで生活していこうというダメジンたちが、インドに行こうと思い立ち、そのためのお金を工面していこうとする。

そんな感じのストーリーだが、どうも見ていてストーリーに入ることができなかった。

監督の思いつきのようにそれぞれのエピソードが出てきて、それに登場人物たちが思いつきのままに対処していく。そうしたいい加減さがダメジンのダメジンであるが故なのだろうが、盛り上がりを持たせようという後半にうまくつながっていくように感じることができない。

ダメダメ人間という設定のせいだろうか?それとも前半にひんぱんに出てくるグロテスクなシーンのせいだろうか?いくつか考えてみたが、どれも違う気がする。それとも、監督が脚本を練りすぎて、かえってダメさユルさが消えてしまっているのだろうか?

本作品は、三木聡監督の長編映画としては、「イン・ザ・プール」、「亀は意外と速く泳ぐ」に次ぐ公開とのことである。しかし、撮影はそれら二作品よりも前、長編作品としては初の監督作品のようである(2002年の撮影後、事情があって四年間も公開されずにいた作品とのこと)。このためもあるのだろうか?

う~ん、よく分からない。

他の人の感想を見ていても評価している人が多いので、もちろん好き好きの問題が大きいのだろう。ただ、とにかく私には全くのダメダメ作品であった。

他の出演者も大変豪華である。伊東美咲、岡田眞澄、片桐はいり、笹野高史、嶋田久作、菅原洋一、吉岡秀隆など。もったいない。

「たまには何も考えずに見れる映画を」と思って借りたのだが、残念ながら全くの時間の無駄であった。

★ゼロ、と言いたいところだが、普段はあまりに個性的だなぁと敬遠していた市川実日子が、本作品では意外と好演していたので、それで一つ。

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2008年1月29日 (火)

「ボーン・スプレマシー」を見て★★★★★

Bournesupr_250 第一作 ボーン・アイデンティティーに続く、ボーン・シリーズの第二作。2004年公開(2005年日本公開)のスパイ・アクション映画。アメリカ映画、108分。原作はロバート・ラドラム。監督 ポール・グリーングラス、出演 マット・デーモン他。

一作目の「ボーン・アイデンティティー」(2003年公開)を見た時には、あまり強い印象に残った映画ではなかったので、続編は見ていなかった。しかし、なぜかレンタル店で目に止まったので、ストーリーを忘れていた一作目とともに見てみた。

一作目を見終わった時には、残った疑問も多く、「はて?」という感じだった。

「「トレッドストーン計画」って何?ボーンの記憶って、結局ほとんど戻ってないよな?」など。格闘シーンとカーチェイスシーンばかりが印象に残り、しかもどうでもいいように思われたラブシーン。「割と面白い映画だが、構成がイマイチだなぁ」というのが正直な所で、私の中では凡作の評価。二作目は「借りてしまったので、仕方ないから見よう」と思って見始めた。

しかし、二作目はずーっと面白い。

一作目が凡作で二作目が面白いというのは珍しいシリーズだなぁ、と思った。特典映像の解説を見ていて思ったのだが、多分、監督が違うからなのだろう。

主人公のジェイソン・ボーンは暗殺者で敵と戦ってもあまりに強過ぎるという現実的でない設定なのに、見ていてリアルに感じられ、自分がボーンになった気持ちで見ることができた。

監督は現場のライブ感を重視する人で、あまりリハーサルもしないようだ。また、マット・デーモンもできる限りのアクションを自分でこなしていたようである。いくつかの最新の特撮機器も良かったようである。

知的楽しみという面でも、今回は見ながら頭をクルクル働かされたように感じた。ボーンや他の登場人物が何をどう考えて行動しているのか?など。

また、主要舞台もベルリンとモスクワという従来のスパイ映画・小説の東西冷戦を連想させられ楽しい。二つの都市ともに秋から初冬の少し暗く重厚なイメージが映画のイメージに合っていた。

音楽も一作目の流れを継いだものが多かったが、より効果的に使われているように感じた。

一作目も今回の監督だったら良かったのに。だが、三作目の「ボーン・アルティメイタム」は本作が好評だったのか、再びポール・グリーングラスがメガホンを取っている。これは見ないと!

今回は、「トレッドストーン計画」を初め、前作で疑問に残った点がいくつか明らかになった。三作目ではもっと明らかになるのだろうか?

全体には絶賛したい気分なのだが、残念な点もいくつか。

ボーンは無駄なことはしないとの設定のはず。ホテルの客室に簡単に侵入できる技術を持っているに関わらず、わざわざその部屋の予約をしようとしている。結果、通報され、警察を招き寄せてしまっている。

また、アボットはなぜあんなに潔く最期を迎えたか?しかし、この点は特典の未公開シーン集のホテルロビーでのを見て理解できた。公開時間の関係でカットされたのかも知れないが、ぜひこうした未公開シーンも入れておいて欲しかった。

それにしても、見ごたえのある良いスパイ・アクション映画だった。星5つ。

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2008年1月16日 (水)

「東京物語」を見て★★★★★

Tokyo_250 小津安二郎監督、出演 笠智衆、原節子 他。1953年11月公開。言わずもがな、日本を代表する不朽の名作の一本である。にもかかわらず、今まで遠巻きにしていたため、恥ずかしながら今回が初見。

大学院の頃、友人の一人が「理想の女性は、東京物語の原節子」と言ったのを聞き、「よく知らない映画だが、ずいぶん変わったことを言うなぁ」と思ったものである。また、確か高校生の頃、この映画に興味があると言ったところ、「シミったれた内容の映画だよ」と言われたこともあった。

個人的には、そんな思い出があった作品なのだが、とにかく名作である。「やはりいつかは見なくては!」と思い続けて、ついにレンタルしてきた。

20年ぶりに尾道から東京に出てきた老夫婦(笠智衆、東山千栄子)が、成人してそれぞれの暮らしを持った子供たちの家を訪ねるが、みんな自分の生活に忙しくて快く思ってくれない。しかし、戦死した次男の嫁(原節子)は二人を温かく迎え、仕事を休んで二人を東京見物に連れて行くなどしてくれた。二人はそれなりに満足して尾道に戻るが…。

という内容。つい、大昔の映画だとストーリー構成やキャラクター設定が単純過ぎるのではないかと思い込んでいたのだが、そんな自分の愚かさが恥ずかしくなった。

さすがは、世界的な名作にも数えられる一本である。

家族(親と子のつながり)、生と死、家族形態の変化(核家族化)などのテーマが、それほどの大事件はない普通の日常生活の一コマの中に織り込まれて、しっかりと落ち着いたタッチで描かれている。こうした普遍的なテーマは今見ても全く古さを感じず、かえって表現のストレートさに新鮮さすら感じた。白黒作品であるが、映像そのものも美しい。また、ホームドラマ特有のお茶の間の雰囲気がよく出ていて独特な感じもした。こうした作品の良さはやはり高校生の時なら分からなかったかも知れない。「シミったれた」という感想を持たないで済んだので、高校時代の友人に感謝である。

笠智衆のもの静かだが、その静かさで多くを語る演技に感動した。また、原節子が演じる未亡人・紀子は、思いやりがあり、おしとやか、それでいて芯が強いといういわゆる大和撫子の魅力に溢れている。10年近くの時を経て、先ほど友人の言にもようやく納得することができた。

全くスゴイ映画である。

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2007年12月29日 (土)

「再会の街で」を見て★★★★☆

普段、DVDばかりなので、久しぶりに映画館(恵比寿ガーデンシネマ)に足を運んでみた。シミジミした気分になりたいと思って選んだ作品。期待が高かったせいか少し期待ハズレの感もあるのだが、良い映画だと思う。

抑えた表現手法で同時多発テロのその後を追った作品と位置づけて良いのだろうか?しかし、一方で、表面上は恵まれた環境で生活している主人公アランのような人も癒しきれない多くの悩みを抱えて暮らしているということを描写している点にも注目したい。

ニューヨークに住み、経済的には恵まれているが、仕事・家庭の双方での微妙な行き詰まりから抜け出せない歯科医アランが、町で大学時代の同級生チャーリーを見つける。チャーリーは、9・11テロで家族を失い、その後遺症から立ち直れなくなり、歯科医の仕事を捨て、風変わりな毎日を送っていた。アランは、初め自分のことも認識してもらえなかったが、次第に学生時代のように仲良くなり、チャーリーの再起を助けようとしていく…。

という話で、ありがちな展開の映画だなぁというのが第一の感想。ただし、当時の事件映像を流したりせず、事件への怒りや悲しみを扱うというよりも、事件から受けた心の喪失感とそこからの再起の難しさが中心に扱われている点。チャーリーの再起に関わることで、アラン自身も一見幸せだが行き詰まり感のある気分から抜け出すきっかけを得られたという点。この2つの点は良いと思った。

一瞬に家族全員を失ったチャーリーの気持ちには同情はできるものの、体験として想像を絶するようなものなので、なかなか共感することはできなかった。一方、アランの感じる行き詰まり感は経済的にも家庭的にも恵まれていても誰もが感じうるような感情で、誰もが体験するかも知れないものなので、感情移入がしやすかった。

抑えた表現の映画であるが、チャーリーの趣味の一つが中古レコード収集なので、私にも懐かしい古い曲が散りばめられていた。40歳過ぎの男二人がブルース・スプリングスティーンの曲に合わせて深夜に楽器セッションをするシーンなどは楽しく見れた。また、ユーモアのあるシーンもいくつかあり、そうした楽しさもある。

期待ハズレだと思ったのは、もう少し感情にストレートに訴えてくるような映画を見たいと思っていたのに、意外に考えさせられる映画だったからなのかも知れない。あと自分の好みとして、日常生活を深く掘り下げる作品よりも主人公のひたむきな使命感や生き様を取り上げた映画の方が好きなのかも知れないと思った。

主演は、ホテルルワンダのドン・チードルとアダム・サンドラー。他の出演はリヴ・タイラー、ジェイダ・ピンケット=スミス。マイク・バインダー 監督。2007年アメリカ。

こそっと、ドナルド・サザーランドが美味しい役をしているのにも注目。

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2007年12月14日 (金)

働きマン、助けて!

日本テレビのドラマ「働きマン」

なんとなく、HDDレコーダーに録画していたので見始めたのだが、意外と面白い。

出版社の雑誌編集者、松方弘子(菅野美穂)は、20代後半。ようやく一人前に仕事ができるようになり、後輩をビシビシ指導するようにもなったが、まだまだ経験不足。しかし、仕事にかける人一倍の情熱で、毎回、読者の心に響く記事を書いていく。というあらすじ。

「医龍」、「ガリレオ」が面白いのは、当然という気もするが、今クールは、「SP」とこの「働きマン」が私にとっては掘り出し物だった。

どこかすごく面白い部分がある訳ではないのだが、松方弘子のキャラと仕事にかける情熱が爽やかで気持ちよく見ることができた。

その第10回でこんなエピソードがあった。

工事現場で滑落事故が起き、松方は取材に向かう。そこで、野次馬として集まった若者達が携帯電話のカメラで無神経に事故現場を撮影している姿を目撃した。

松方は、「事故そのものよりも、この問題を記事にしよう」と、デスクに提案し、「週刊誌のあるべき記事はこういうものだ」と、特集記事としてとりあげてもらうという話である。

最近のテレビのニュースを見ていて思ったことがある。

殺人事件や誘拐事件などが起きた後に、記者が報道取材で近隣住人の話を聞きに行く場面がよく放送される。

「夜中に『助けて!』という声が聞こえたんですよ。どうしたのかと思っていたのですが、それが、今回の事件だったんですね。」

「そうなんですか?『助けて!』と聞こえたんですね。はっきりとした声だったのですか?」

「はい、はっきり聞こえました。」

記者は、何か刺激的な情報を言わないかと、ひたすら質問を続ける…。しかし、待ってくれ。

夜中に、はっきりと「助けて!」と聞こえたら、窓から様子を見たり、警察に電話をしたりするべきではないのか?危険が迫っているから助けを求めているのである。そんな時に助けてもらえないなんて。怖すぎる。

そういう世相であるのは、確かにそうである。で、あるならば、テレビの記者も機転を利かせて、

「あなたはどうして、「助けて!」と聞こえたのに何も行動を起こさなかったんですか?」

とか、

「『あなたが、助けようとすれば、警察に連絡すれば、被害者は助かったかも知れない』と思わないのですか?」

とか、どうして言わないのだろう?ますます、冷たい怖い時代になってきているのではないか?

働きマーン!こんなことを記事にして世間に訴えて!!

などと、思っていたら、一緒にテレビを見ていた家族が、

「何かあったら、『助けて!』じゃなくて『火事だ~!』と叫ぶようにしよう。火事なら誰でも外の様子を見てくれる。」だって。

その手があったか。思わず感心してしまった。

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コンラッド東京から見下ろした浜離宮。東京ってきれいだなぁとつくづく思う景色だが、でも、恐ろしいんですね。

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2007年10月 7日 (日)

「バッテリー」を見て ★★★★★

Battery_250 あさのあつこ原作の同名ベストセラー小説の映画化。監督 滝田洋二郎、出演 林遣都、山田健太、鎗田晟裕、蓮佛美沙子、天海祐希、岸谷五朗、菅原文太、萩原聖人。1時間52分。公開 2007年3月10日。

美しい風景の岡山を舞台にした、少年野球映画。ひさびさに感動。今年見た映画の中では、私の中では1位か2位。主演の3人の少年の配役が素晴らしい。また、登場人物一人一人の描き方、ストーリーの進行も大変ていねいに作られているように感じた。

12才の天才ピッチャー巧(たくみ、林遣都)とその剛速球を受け止められる豪(ごう、山田健太)の友情、病弱な巧の弟・青波(せいは、鎗田晟裕)との兄弟愛、家族愛、登場人物の野球に対する情熱など。見ていて、しみじみとしてきて、「いいなぁ」と素直に思え、見た後にはすがすがしさが残る。

主役の巧は、類まれな才能ゆえに孤独な性格。それに反抗期のような性格も加わっているように私は感じた。野球を通じてピッチャーの巧とキャッチャーの豪がお互いの信頼関係・友情をバッテリーという関係を通じて築いていくという設定は、昔ながらの野球漫画を思わされるが、それでも野球って確かにこういうスポーツだよなぁ、自然に感じられる。

また、登場する子供達の表情が素晴らしい。巧は難しい性格の役柄であるが、親友の豪の笑顔は子供らしくて特にすがすがしい。最高である。また、弟・青波のけなげさもいい。そして、同級生のヒガシ、サワの表情も良い。

配役では、唯一、対戦する横手二中の選手の面々だけが残念だった。強豪ということを強調したかったのだと思うが、どうみても中学3年生ではなく、大学生チームである。もう少し何とかとならなかったのだろうか、と思った。

本作品では他に岡山の美しさがストーリーの暖かさとマッチしていて良かった。特に、何度も登場する巧のランニングコースのお寺と仲良しグループの整備もされていない草野球場は、「いいなぁ美しいなぁ」と感じた。

登場人物の描き方は前述の通り、ていねいだと思った。特にムダな描写をしないでうまく奥行きを出したなぁと感心した。一つだけ少し不自然に感じたのは、野球部監督の戸村(萩原聖人)の心境の変化である。初めは管理野球・管理教育の代表のような人物だったのが、巧との出会い、野球部内の暴力事件を経て、大きく変わっていく。しかし、なぜそう変わっていくのかがやや強引にも感じた(確かにこのために時間を使うのは意味もないと思うのだが…)。

他に、登場人物一人一人の野球に対する思いいれがとてもよく伝わってきた。元高校野球の伝説の監督、巧の祖父・井岡洋三(菅原文太)、巧、青波ら子供に影響されて新しい職場の野球部に入ってしまう父・原田宏(岸谷五朗)、野球が好きでたまらないのに病弱でそれが叶わない弟・青波。そして、野球を毛嫌いしている母・原田真紀子(天海祐希)。もちろん、他の出演者も野球をキーワードにつながっている。

最近は野球人気の低下がよく話題になったが、自分が子供の時に、小学校の校庭、広場や公園、路地裏でやった草野球やバント野球って楽しかったなぁと思い起こされた。

久しぶりにみんなに「これは見て見て!!!」と言える映画である。本当にこれはいいですよ、もし見ていない人はだまされたと思って見て下さい。特にピュアな感動をしたいという時にはおすすめ。★★★★★

(覚書き) 日本映画は委員会方式が良いと思っているのだが、今回も私のその法則が当てはまった。はじめに「TBS」と出てきた時にはすごく嫌な予感がしたのだが、杞憂に終わった(本作品は製作委員会方式にTBSが出資者として便乗しているようだ)。テレビ局が口出しする余地が多くなるほど、観客動員を上げるためだけの下らない要素が多く加わり、結果として駄作になる傾向が強いようだ。今後も気をつけたい。

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2007年9月29日 (土)

「アンフェア the movie」を見て ★★☆☆☆

Unfair_250フジテレビのドラマ作品「アンフェア」の映画化。監督 小林義則、製作 谷泰三、亀山千広、島谷能成、出演者 篠原涼子、椎名桔平、江口洋介。1時間52分。公開 2007年3月17日。

2006年放映のドラマシリーズを見ていて、映画公開前に「結構、期待できる内容らしい」と数人に言われていて、公開後は良いとも悪いとも話を聞いていなかったので、確かめるべく、DVD化を機に見てみることに。

警察病院がテロリストに占拠された。警察庁長官を残して、病院内の全員が開放された。しかし、爆破事件に巻き込まれて入院した雪平夏見(篠原涼子)の娘は病院内にとり残されたまま。娘を助けに病院に潜入する雪平。テロリストの本当の目的は?などといった内容。

いきなりチープなCGの爆破シーンが出てきたので、少し嫌な予感がしたのだがアクションはそれほどひどくはなかった。ただ、内容が、推理映画というよりはアクション映画に近かったのが残念。

また、半分も見ない内に犯人が分かってしまった点も残念。「ドラマのようにもしかしたら、どんでん返しでもあるのかも」と期待しようにも、そうした兆しもないうちに話が進んでしまう。見終わった後に、「果てして、本気で犯人を隠そうとしたのだろうか?」と考えてしまうほど。

ドラマは、どんでん返しの連続で、最後は「それは少しやり過ぎ」と思わされたが、とにかく推理色が強いシリーズだったので、映画でも同じようなものを期待していた。映画の方が時間の制約が高いのは分かるが、もう少ししっかりした脚本にできなかったのかと思う。

篠原涼子のハードボイルドな役柄はなかなか面白い。また、個人的には、加藤雅也のふざけた役回りが好きである。全体に、フジテレビのドラマシリーズということで、他のキャストも豪華。それだけに、もう少ししっかりしたストーリーにして欲しかった。

また、ここ数年の流れから、日本映画がまだ注目されているので、わざわざハリウッドを思わせる作りにするのは疑問。「どこかで見たよなこの映画」と思わされた作りも残念。ぜひ、日本映画らしさを出して欲しいものである。★★☆☆☆

見終わった後に知ったのだが、この映画はテレビで今春に放送された特番の続編とのこと。確かに始まり方が唐突であった。ドラマのシリーズ、特番ともに見ていなくても問題なく見れる映画であるが、二つ並べてみるともう少し面白く感じるのだろうか?チャンスがあれば特番も見てみようか?

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2007年9月17日 (月)

「ナイトミュージアム」を見て ★★☆☆☆

Nightmuseum_250 博物館を舞台にした家族向けドタバタ映画。監督 ショーン・レヴィ、原作 ミラン・トレンク、出演 ベン・スティラー、ロビン・ウィリアムズ、カーラ・グギーノ、ディック・ヴァン・ダイク、ミッキー・ルーニー、ジェイク・チェリー、他。

うだつのあがらない失業中の男(ラリー)が、他の男と再婚した前妻と暮らす息子に良く思ってもらいたくて、博物館の夜勤を仕事に就く。しかし、その博物館では夜になると展示中の恐竜の骨、ジオラマ中のミニチュアの兵隊、動物の剥製、セオドア・ルーズベルトのロウ人形などが動き出し大騒ぎをしているのだった。また、博物館内ではとある企みも進行していた。ラリーはこの事態をうまく収拾できるのか?という内容。

ジュマンジ、ホームアローンと同じようなタイプの子供向けの映画である。
① 最近のアメリカ映画とは少し毛色が違っていそうで(もちろん良い意味で)、しかも、
② 全米3週連続第1位、世界興収7週連続1位と声高々に宣伝している(数字をアピールする作品は中身がダメなことが多いので、この手のものに良い映画はあまりないが…)
ので、借りてみた。

どうも色々な評価を見ていると、子供向け映画として評価した人は高評価で、普通の映画として評価した人は低評価のようである。

私の感想は、普通の映画としてはやはり評価にも値しないレベル、子供映画としてはホームアローンとの比較では明らかな負け、ジュマンジとの比較でも僅差で負けというもの。

見ていて、子供映画としての魅力を感じなかったのは、主人公が子供ではなく、お父さんだったからかも知れない。同じような設定でも、博物館に忍び込んだ子供を主役にして、その視点から描いた方が面白いのではないか。

また、色々なアイデアを盛り込んで映画化しているのだろうが、一つ一つのアイデアがあまり面白くない。ティラノサウルスの骨格模型が遊んでくれとせがむなど、とにかく荒唐無稽なことをたくさん盛り込めば面白いのだと思っている節がある。

無茶苦茶な展開で、観客を巻き込んでいくには、もう少し一つ一つアイデアに時間をかけて考えて撮影して欲しかった。

こういった作品は、他に見たい作品がない時に、レンタル一泊二日または当日で借りて見るのがよい。本作品は、最近の低レベルなアメリカ映画としては平均的なレベルか?

★★☆☆☆

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2007年9月10日 (月)

「墨攻」を見て ★★★★☆

Bokko_250_2 酒見賢一の同名小説を原作としたコミック「墨攻」(森秀樹(作画)と久保田千太郎(脚本)、1992~96年「ビックコミック(小学館)」連載)。このコミックを原作に作られた映画とのこと。日本、中国、韓国、香港の3カ国4地域合作。監督 ジェイコブ・チャン(香港)。出演 アンディ・ラウ(香港)、アン・ソンギ(韓国)、ワン・チーウィン(中国)、ファン・ビンビン(中国)、ウー・チーロン(台湾)、チェ・シウォン(韓国)。

今、「水滸伝」を読んでいるので、時代は全く違うが中国戦記モノ、しかも「10万の敵にたった一人で戦う(なんじゃそりゃ?!)」という宣伝文句につられて、ついついDVDをレンタルしてしまった。私は小説もコミックも読んでいなかったので、見る前からすでにワイヤーアクション満載のおバカ映画かとビクビクしていたが、意外と拾い物だった。

以下、多少のネタバレあり。

紀元前370年頃の戦国時代。趙と燕の戦いに巻き込まれた小国の梁は間もなく趙に蹂躙されようとしていた。趙軍10万人に対して梁城は全住民で4千人。唯一の頼みの綱、墨家からは革離(アンディ・ラウ)がたった一人来ただけだった。王の信頼を得た革離は梁の全権を与えられ、趙軍から梁を守ることとなる。

革離は知略をつくして、趙軍の撃退に成功する。しかし、戦いの中で強い指導力と有能さを発揮した革離の人気は高まり、梁の権力者にとっては危険な存在になる。嫉妬心は危機感へと変わり、そして追放の決定へと進んでいく。

有能な軍人に対するありがちな扱いだが、権力に対して人間が抱く本質である気がした。豊臣秀吉が全国統一後、戦乱期に有能だった黒田如水をおそれたのと同様だと思う。

その後、撃退したはずの趙軍が戻ってきて…、という展開はいかにもと想像できる展開ではあった。

しかし、もっとちゃちなストーリーを想像していた私にとっては、なかなか骨太な良い映画であった。また、インファナル・アフェアに出演していた主演のアンディ・ラウが大変良かった。戦闘シーンも少なくともワイヤーアクションものではなく、それなりに迫力のあるスペクタクル映画のそれであった。

また、戦国期にあった専守防衛を旨とする墨家の思想がテーマになっており、ありがちな感想だが、戦争と平和についても考えさせられる内容であった。

ただし、もちろん問題点もいくつかあった。

まず、長編と思われる原作を一本の映画にまとめているので、特に前半の数々のシーンで編集がおそまつに感じられた。

エキストラ(おそらく地元住民)への指導はあまりしない方針なのか、主演級の俳優以外の演技はまったくひどいものであった。

また、中国映画ではよく残酷な描写があるが、この作品でも脚を切り落としたり、のどを切ったりという残酷な設定があったのには少し不快に感じた。

加えて、女将軍と革離の恋愛はムダであった。「骨太な作品にし過ぎないよう恋愛も入れよう」というハリウッドのレベルの低い商業主義的な発想をとり入れたのだろうが、この点も残念であった。

こうしたエピソードに時間を使うのなら、革離が梁内で信用を得ていく様、また、逆に追い込まれて追放されていく様などをもっとていねいに描写して欲しかった。

ただ、それでも本作は私の事前の期待が低かったこと。骨太さという点では見ごたえのある力作であった点が大いに気に入り、満足のいく作品だった。ちなみに、「10万の敵にたった一人で戦う」という宣伝文句は全くのウソッぱちで、実際には革離が知力を使い、4千人の兵力で、10万人の敵を追い払ったというものである。

日本、中国、韓国、香港の3カ国4地域合作といいながら、日本人の俳優が一人も出ていないのは不思議だと思った。中国語を話せて、役にあった俳優がいなかっただけかも知れない。が、主演のアンディ・ラウが相当な反日家であるということも理由なのかも知れない。こうしたアジア地域での共同作業に日本人がうまく参加できないのは、今後の日本のアジアでの地域展開を考えても寂しい限りである。★★★★☆

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2007年8月12日 (日)

「どろろ」を見て ★★★★☆

Dororo_250 手塚治原作の同名漫画の映画化。塩田明彦監督、アクション監督にチン・シウトン監督(少林サッカー)。出演 妻夫木聡、柴咲コウ、瑛太、中井貴一、原田美枝子、原田芳雄、他。

原作とはストーリーや設定が大きく違うために、本作品が好きでない人も多いようだ。漫画の実写版は大ハズレかアタリか極端な場合が多いと私は感じているのだが、本作はなかなかアタリだった。原作を読んでいないのが良かったのかも知れない。

戦乱期の荒廃した世界。武将 醍醐景光(中井貴一)は、我が子の体48箇所を48の魔物に譲り渡し、それと引き換えに天下統一のための力を得る。体の大部分を失って生まれた赤子は医師 寿光(原田芳雄)の術で、仮の体を与えられた。

成長した赤子 百鬼丸(妻夫木聡)は自分の失われた体を取り戻すため、戦乱を生き抜くため女であることを隠して生きるコソ泥 どろろ(柴咲コウ)と共に魔物退治の旅に出る。

原作は日本の室町時代末期のようだが、映画では異次元を思わせる架空の時代のようである。衣装などの雰囲気も日本と中国の間くらいの感じ。

出てくる城は幾本もの煙突も立っている非現実的なデザインで、魔物や百鬼丸の存在など不思議な設定を引き立たせているように感じた。また、こうした設定のおかげで、時代劇としては不自然な台詞回しも気にすることなく軽い気持ちで楽しんで見れた。

主演の柴咲コウと妻夫木聡の魅力が引き立っていた。

柴咲コウは、気は強いが実は女っぽいという役のイメージが強かったので、小悪党でふざけた役回りという本作は良かった。

妻夫木聡は、甘いイメージしかない俳優だと思っていたので、悲惨な運命を背負いながら生きる影のある役というのは意外さを感じられた。人間の体を取り戻していくにつれ、人間らしい感情も身につけていく様子も好感を持てた。

脇を固める大物など出演者それぞれの熱演も良かったが、どうも瑛太は元々あまり好きでないせいか鼻についてしまった。

一方、思わず笑ってしまうアクションは、チン・シウトン起用からして、狙いだと思われるが、ワイヤーアクションばかりというのはいただけない。また、制作費20億円という宣伝の割りには、チャチなCGや特殊メークは残念だった。

アクション大作と期待して見ると、大きく裏切られた気分になったと思う。本作を楽しむには、あまり過度は期待はせず、ちょっと軽く楽しめる映画を見たいなぁというスタンスがお奨め。十分に楽しめた。★★★★☆

2、3作目の制作がすでに決定しているとのこと。なんとなく、この手の映画は2作目、3作目と進むにつれて、ダメになっていきそうな予感がする。

1作目で20億円もかけているので、2、3作目で合わせて30億円くらいはかけるつもりだろうか?1作目はヒットしたのだと思うが、シリーズトータルで赤字とならないよううまく作って欲しいものである。

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2007年7月 9日 (月)

「不都合な真実」を見て ★★★☆☆

Futsugo_250 アメリカ元副大統領のアル・ゴア氏が世界各地で行った地球温暖化問題についての講演をドキュメンタリー映画にしたもの。2006年デイビス・グッゲンハイム監督、出演 アル・ゴア。

この映画は、ちょうど忙しい時に劇場公開された作品で、時間ができたらぜひ劇場に見に行きたいと思っていた。そして、いざ時間が出来て行こうとしたらすでに公開終了だった。そんな思い出があるが、DVD化されたので早速レンタルしてみた。

見終わった時の第一印象は、「良くも悪くもアメリカのドキュメンタリー映画だな。」だった。

まず、はじめに良い点。地球温暖化問題を図表や写真、データを使って、どれだけ大変で深刻な問題であるかを観客に向かって、論理的に詰めていくという構成が印象的だった。時にジョークを交えながらも、相手が反論する余地がないように説得していく手法はいかにもアメリカ人の得意とするスタイルだと思った。

こうした点は、「もったいない」や「自然との共生」という倫理感、価値観をもともと共通認識として持っている日本人や他のアジア圏の人とは若干異なるアプローチである。つまり、様々なバックグラウンドの人を説得しなければ動いてくれないという社会では、こうして詰めていくアプローチが必要なのだろう。

本当は世界中が、「もったいないよね?」とか、「自然は守らなきゃまずいよ」とかいうような情緒的な会話で共通認識を持てれば、一番効率的だと思うのだが…。

いずれにしても、メッセージ性はとても強いので、温暖化問題の重要性をよく理解できるという点では、大変良い作品だと思った。

次にあまり良くない点。見ながら思ったのは、やはり米国は環境問題では相当な後進国なのだという点。この映画の主題はいまどき、「温暖化問題は大変深刻なのでマジメに考えよう」なのである。

温暖化問題は深刻な問題だということで一定のコンセンサスが出来ていて、その上で何をやっていけば良いのかを考えている日本との大きな温度差を感じた。また、こうした当たり前のことを、あらためて主張しなくてはいけないのは、京都議定書に署名することができなかった米国のお国事情を反映しているのではないか。

こうしたことはさておき、この作品を見ると誰もが、「温暖化問題は深刻で重要な問題なんだ」と思うだろう。そして次の日から、もし、何か一つでも環境を考えて行動できるようになればそれは重要な変化の一つなのだと思う。そして、さらに環境問題解決に向けた法案をきちんと考え実行できる政府に投票をできるような世の中の雰囲気作りになっていければいいなぁと思う。

見終わってさらに考えると、この映画のおかげか、米国ですら環境問題が大きな関心を集めるようになってきた。世界で、米国は環境問題で大きく出遅れ、日本は相応の影響力を持っている。しかし、米国が関心を持ったということは、何としてでも、環境問題でのリーダーシップを取ろうとし、しかも、それで世界中の環境ビジネスを手中に収めようとすると思われる。その時、日本政府・日本企業はどう行動するのか?私はむしろそういったことに関心が行ってしまう。

もちろん、少なくともゴミの分別はもっとちゃんとするようにします!

今ふと思い出した。2~3年前にアル・ゴアの環境問題についての講演会を聞きに行く機会があった。仕事が忙しくて諦めてしまったことが思い出された。きっとこの内容を生で見ればだろう。う~ん、ちょっと惜しかったな。

★★★☆☆

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2007年6月28日 (木)

「パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト」を見て ★★★☆☆

Deadman_250 ディズニーランドのカリブの海賊を題材にした三部作映画の第二弾。2006年ディズニー、ゴア・ヴァービンスキー監督作品。出演は、ジョニー・デップ、オーランド・ブルーム、キーラ・ナイトレイ。

一作目は何の期待もせずに、家電量販店で見かけたDVDを衝動買いしたら、意外に面白かった作品。このヒットに味をしめたディズニーが二作目、三作目を作ってさらなるもうけを狙うためにシリーズ化した第二作目。

結婚式を控えたウィルとエリザベスは、昔、海賊ジャック・スパロウに加担したことを理由に逮捕される。ベケット卿(東インド貿易会社)は、ジャックが持つ「北を指さないコンパス」を渡せば釈放するという。ブラックパール号の船長に戻ったジャックだが、実は13年前、デイヴィ・ジョーンズと「血の契約」を交わしていた。その契約の内容はブラックパール号の船長を13年間つとめたらデイヴィ・ジョーンズの船で船員として働き続けるというもの。ウィルの父親ビル・ターナーは契約の期限が迫っていることを告げるために、ジャックの前に現れた…。

二作目も多少の興味は持っていたが、映画館にも行かず、DVDが発売されても「最近のハリウッドはどうしようもないからなぁ」と知らず知らずに敬遠していた。つい最近、映画館の前を通りかかると公開中の三作目の看板が多く出ていて、「そう言えば、見てないな」と先週末に借りた作品。

そうした意味では、あまり期待もしないで見たが、それでも感想は「う~~~ん(汗)」。三部作映画の二作目があまり面白くないのはよく分かる。でも、二時間半も使ってこれか…。

前半の人食い人種の島からの脱出は面白かった。特に球状の檻に入れられて、その状態で島からの脱出を図るという設定が楽しい。崖を這い上がるシーンは素直に面白いし、山から海岸まで転がり落ちるシーンではインディジョーンズの一作目で洞窟の中で石の玉に追いかけられるというシーンを彷彿させられ、面白かった。

どうも中盤以降は、面白さに翳りが出てきてかなりの催眠光線が出ていたようである。CGは確かにすごいのだが、出てくるキャラがグロテスクで画面も暗くてあまり楽しめなかった。

第一作目の強烈なキャラで人気が出たジャック・スパロー(ジョニー・デップ)を活かすためにこういう撮りになったのかなぁと思わされた。登場人物たちの行動もなんとなく必然を感じないというか、何というか…。

そしてエンディングはもちろん三部作へのつなぎとするために、繰り越しの謎が満載で、「えっ!これで終わり?」という感じで第三弾に繰り越しなっている。

同じく先週末に見た「エラゴン」よりは映画としてマシだったが、シリーズものに頼りながらもあまり良い作品が作れないハリウッドの現状をあらわしているのかも知れない。それとも、しばらくこうした映画を見ていない間に、自分が面白いと思う基準が変わってしまったからかも知れない。

特にこの映画をいじめようと思っているわけではないのだが、二本続けて外れクジを引いたせいだろうか?なんとなく「損した感」が強く残っていて、こんな感想になってしまいました…。ま、これも一つの意見ということでお許し下さい。

★★★☆☆

※ 最近借りたCD: Eric Claptonの「The Cream of Eric Clapton」
懐かしい曲がたくさん入ってました。相変わらずブルースを聴きながら「ギター欲しいなぁ」と思っています。こういう自分が懐かしいと思うような曲を聴いていると、中高生の時に音楽に夢中になっていた頃の気持ちやら思い出やらが蘇ってきていいですね。

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2007年6月24日 (日)

「エラゴン 遺志を継ぐ者」を見て ★★★☆☆

Eragon_250 15歳で書き始めて17歳で自費出版をしたベストセラー作家クリストファー・パオリーニのファンタジー小説の映画化。2006年 20世紀フォックス、 シュテフェン・ファンマイアー監督作品。

かつてはエルフやドワーフが人間と共存する平和な土地だったが、今では悪いガルバトリックス王が支配するアラゲイシア国。農場に暮らす17歳の少年エラゴンは、ある日森の中で光を放つ青い石を見つける。その石は、世界の命運を握るドラゴンの卵だった。エラゴンは、卵から生まれたドラゴン・サフィアと出会い、育ての親の伯父が殺されたことをきっかけに、伝説のドラゴンライダーとして生き、世界に正義を復活させるという自分の運命を知る…。

原作の設定はスケールが大きかったらしいが、短くまとめようとしたために映画では壮大さは感じられなかった。私は原作を読んでいないが、他のレビューを読んでみると、17歳(!)の原作者はかなりストーリーを詳細に書き込んでいるが、映画は1時間44分という長さの都合上、多くの内容が割愛され、駆け足で物語を追いかけることが終始することになったため、人物の描写も含め、映画しか知らない私にも浅薄な印象が残った。

映画というものは映画館で一日に上映できる回数が上映時間の長さによって決まる。3時間の映画は1.5時間の映画の約半分の回数しか上映できないが、入場料金は2倍にはできない。観客は時間があり余っている学生などにとっては、同じ料金なら長い映画の方がお得感があるが、時間がない人にとってはそうでもない。従って、長編映画は儲けにくいのだろう。よほど売れそうな映画か変わり者で実力のある監督がわがままを言わない限り、長編映画を作るのは難しいのだと思う。

冒頭はスターウォーズ・エピソードⅣをファンタジーの世界でコピーしているのかと思った。しかし、途中からこれはドラゴンクエストなどRPGゲームの映画化だと思って、軽い気持ちで見るようにすると楽しめた。ロード・オブ・ザ・リングは日本のRPGゲームののドラゴンクエストに影響を与えているとよく言われる。一方、この映画はそうしたゲームの影響を受けていると思って割り切れればまずまず面白い映画である。

戦いを通じて成長していく主人公の姿は微笑ましい。「エラゴンはブリジンガーをおぼえた(パラパパラパパッパ~ン♪)」、「エラゴンはホイミをおぼえた」などと主人公が魔法を覚えていくのを鼻歌を歌いながら見たり、「フロスガー王はエラゴンとサフィラによろいをあたえた」などと自分で反復しながら見られる。

CGでは、ドラゴンと一緒に空を飛ぶシーンや戦闘シーンは一見の価値ありだと思う。

ロード・オブ・ザ・リングの成功があったからこそ作られた映画でしょうが、本作を同作と比べるにはかなり無理がある。本格的なファンタジー映画として見るより、初めから軽いCGエンターテイメント映画として見るとそこそこ楽しめる。宣伝文句に乗せられての過大な期待は禁物である。最近のアメリカの娯楽映画のレベルの低さを考れば、まずまずの出来。★★★☆☆

原作ではまだこの先があるようで、映画も三部作構成のようである。本作にもエラゴンと仲の良い従兄弟のローランは冒頭出ただけだし、「この後どうなるのだろう?」と思わせる積み残しの疑問や伏線が盛り込まれている。続編を作るなら今度はきちんと描きこんでもう少し奥行きのある映画にして欲しい。

ところで、、、

今日は用事でお台場まで車ででかけたが、スピードが出やすい道でスピード違反の取締りをやっていて、一台捕まっていた。違反は違反なので、捕まった車に同情の余地はないのだが、取り締まりの目的はスピードの出し過ぎは事故の原因にもなる危険なので、事故防止のためだと思う。しかし、今日、取締りをしていたのは、スピードは出やすいがあまり事故が起きそうもない場所。そこに5人以上の人をはりつけていたのはあまり意味のあることとは思えなかった。

最近、繁華街での駐車違反がまた少し増えている気がする。特に横断歩道や交差点付近でドライバー、歩行者双方の視界をさまたげる駐車違反も多い。また、区の条例ではあるが、繁華街での路上喫煙も目立っている。色々と取り締まりノルマ(予算)の問題や担当地区の違いなどがあるのだろうが、どうか意味のある取締りを行って欲しい。私たちの税金なのだから、どうか効果的に使っていただきたい。

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2007年6月12日 (火)

「ナイロビの蜂」を見て ★★★☆☆

ジョン・ル・カレ原作のアフリカを舞台にした社会派フィクション映画。フェルナンド・メイレレス監督。

ジョン・ル・カレは私が大学生の頃、しばらくの間スパイ小説に凝るきっかけとなった「寒い国から帰ってきたスパイ」の著者である。「寒い国から…」は数あるスパイ小説の中でも珠玉の一冊と言われる作品である。

そのため、この作品もスパイがらみのものかと思ったら、さすがに冷戦後の世界でスパイは流行らないようである。 そもそも、ドイツが東西に分割されていたことを知らない人も増えているかも知れない。密かに東ドイツを抜け出そうとすれば、銃殺される時代があったのである。

そんな東西冷戦が歴史上の物語になると、民族問題か南北問題をテーマにした作品が増えるのは当然の流れか?

少々、脱線したが本作の内容は、妻を殺された男が、アフリカで貧しい人々の命を犠牲にしながら利益をあげる巨大な製薬会社と戦うというものであった。

それほどの映画ファンではない私は、日本公開当時にはこの作品を知らなかったのだが、どうやらラブストーリーとして売り出したらしい。この手の映画をラブストーリーとして売り出した配給会社にかなり疑問を感じるが、日本からあまりに遠いアフリカを舞台にしているため苦肉の策だったのかも知れない。 他の話題としては、殺される妻役のレイチェル・ワイズがアカデミー助演女優賞を取ったというのが話題だったようだ。

妻が殺された理由を知りたい、妻は本当は自分を愛していなかったのか知りたい。そうした動機で真相を調べるうちに、安易な利益を追求する企業の恐ろしい実態を知り、恐ろしい事件に巻き込まれていく。サスペンス映画らしくストーリーが展開していくが、ナイロビのスラム街の哀しさを色鮮やかに、そしてリアルに描いているのがこの映画の特徴である。

そうした点ではよく出来た作品であるが、エンターテイメント性を高くしたために、アフリカの現実というテーマが少し薄まったように感じた。最近、シリアスな映画を多く見ているからかも知れない。「ホテル・ルワンダ」、「善き人のためのソナタ」、「麦の穂を揺らす風」。

これらの映画は、違ったジャンルの映画なのかも知れない。しかし、こうした作品と比べると、どうしても浅薄な印象を持った。私の好みとして、社会問題を扱うならあくまで硬派なアプローチが好きだということが根っこにあるからなのだろうが。そんな意味から全くの主観で、おすすめ度はまずまずくらい。★★★☆☆

※ ジョン・ル・カレの小説「寒い国から帰ってきたスパイ」はおすすめです。007のようなヒーロースパイではなく、普通の人が辛い職業を選んでしまったという雰囲気がリアルです。東西冷戦という今ではSFのような設定に違和感を感じなければかなり楽しめると思います。

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2007年6月 3日 (日)

「武士の一分」を見て ★★★★★

この映画は実は前に飛行機の中で見たことがあった。しかし、ラストシーンを前にして、「着陸態勢に入るので機内エンターテイメントは終了です」のアナウンスで無情にも最後まで見れなかったのである。なんとなくどうなるか想像はつくのだが、最後まで見れなかったのが残念で、今回のDVD化を機にもう一度見てみた。

藤沢周平原作で、たそがれ清兵衛、隠し剣 鬼の爪、蝉しぐれに次ぐ第4弾。山田洋次監督では時代劇三部作、たそがれ清兵衛、隠し剣 鬼の爪に次ぐ完結編だということである。たそがれ清兵衛は見たことがない私だが、隠し剣 鬼の爪、蝉しぐれともに好きだったので、木村拓哉主演ということに一抹の不安を抱きながらも楽しみにしていた。

さて、本作の内容だが、藤沢周平作品らしく、藩主の毒見役という侍社会で決して光の当たる存在でない三村新之丞(木村拓哉)が主人公である。ある日、毒見でつぶ貝の毒にあたり失明し人生を悲観するが、妻・加世(壇れい)の支えもあり生活に慣れ始める。そんな折、家禄を得ることと引き換えに、加世が番頭・島田藤弥(坂東三津五郎)に体を許していたことを知り、離縁を申し渡す。ところが、島田は家禄を保証したわけではなく、単に加世の弱みにつけこんで弄んだだけと知り、目の見えない三村は、武士の一分のために命を賭け、島田に決闘を挑む。

封建社会の下流に生きて運命に弄ばれながらも、優しさと武士の誇りを持った主人公の生き様という見所のある作品であった。違った見方をすると、江戸時代も現代と同じようなサラリーマン社会で、主人公は使い捨てられる立場の存在。それが、誇りや正義感から悪役のお上を成敗するというのが、共感とともに、ある種胸がすく思いがして良いのだと思う。

かなり大人向きの内容に関わらず、木村拓哉主演だということで、幅広い年齢層を惹きつけられ、興収は40億円を超え、松竹配給映画の歴代最高記録を樹立できたのだろう。

おせっかい叔母さんの波多野以寧(桃井かおり)、三村家下男の徳平(笹野高史)が味のあるいい演技をしていると感じた。特に徳平は明るいとは言えないストーリー展開にひょうきんな味付けもしてくれている。

木村拓哉は山田洋次監督のおかげか割りに抑えた演技をしていたと思う(少なくともドラマ華麗なる一族の万俵鉄平よりははるかにマシ)。しかし、相変わらず、キムタクという自分の殻から抜け出ることはできなかったようだ。

私にとっての「問題の」ラストシーンはやっぱりという感じだったが、でも満足できた。しみじみ。お奨めです。★★★★★

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2007年5月21日 (月)

「麦の穂をゆらす風」を見た ★★★★★

前から気になっていた映画だが、ようやくレンタルして見てみた。

1920年アイルランド。ロンドンに出て医師になろうとしていたダミアンは、17歳の少年が英国軍に殺されたことをきっかけに、ロンドン行きをやめてIRAに入り、アイルランドが英国から独立して共和国となるための「自由への戦い」に参加することを誓う。
ダミアンは、IRAで兄のテディと共に命懸けで独立という信念のための戦いに参加する一方、組織を裏切った年若い同胞を処刑する無慈悲さも身につけていく。
そんな中、アイルランドは英国と和平条約を結ぶ。その解釈を巡り、アイルランド内は内戦状態に突入し、その中でテディとダミアンの兄弟間に確執が生まれていき…。という内容。

祖国の自由という大儀のための戦争といっても、戦争は戦争。優しかった人が幼馴染を処刑したり、組織の秘密を守るために命を危険に晒したり。また、愛する人が殺されたり…。いかなる戦争も悲劇を生むしかないと言っているように感じられた。牧歌的なアイルランドの自然の中で惨劇が繰り返されていく。運命に翻弄されていく姿を最後まで見て、やるせない気持ちになるが、見ごたえのあるいい作品である。

また、別の見方として、英国の和平政策もアイルランド平定をアイルランド人にさせようという英国の策略のように感じられた。欧米列強時代の植民地政策は、できるだけ直接手を下さず、資本だけを投下し、自国民同士を争わせ、列強は果実だけを摘み取るという手法をとっていた(近年においてもそういう例はあるようだが)。アイルランドもまたその犠牲であったと思われる。当時、こうした狡猾な成熟した植民地主義はアジアでもアフリカでも展開されていたし、未熟で武力だけの日本などは結局馬鹿な政策を取り失敗したのではないかと感じさせられた。また、今日の欧米諸国と日本の外交力の差はこの時からすでに大きくついていたのだと思った。

2006年カンヌ映画祭パルムドール受賞作品。★★★★★

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